最近、どこの情報技術企業が言論弾圧に加担していたとか、そのような話題の話をしてくる人がちょくちょくおります。まあ、表現の自由というものは、天賦人権の一つであり、他人の天賦人権を侵害せぬ範囲においては最大限尊重されるべきものであると思うわけですが。
私が言いたいのは、誰もが表現の自由を侵害しがちであると云うことです。表現の自由を尊重せよと云う人達が、「表現の不自由展」の展示を取り下げさせようと圧力を掛けようと試みたのは記憶に新しいでしょう。
これもまた、人間というものの業なのです。自分の主義主張と相反するもの、利益と相反するものの口を塞ごうとするのは、いかなる主義主張の持ち主でも、また地位のものでも考えてしまうものなのです。
表現の自由を守ることは、二つのアプローチを同時に行わなくてはならない、大変なことです。
一つは、表現の自由を侵害する者と闘うこと。もう一つは、自身が他者の表現の自由を侵害していないか常に考えること。
自分や仲間の被害に敏感であることはとても大切ですが、自分がまた加害していないかということについても、また敏感でなくてはなりません。批判と攻撃をきちんと弁えることは、その一つでしょう。
表現の自由というものは、一人一人の不断の努力が重要なものであります。自分の被害はもちろん、他人の被害にも目を光らせ、耳をとがらせることは大切です。同時に、弾圧者は政府や与党、あるいは特定の政治団体、宗教団体だけではないことを肝に銘じなくてはなりません。
個人が自由に発信できる時代は、個人が他者をいとも簡単に弾圧できる時代でもあるのです。